興塔小学校は室内だけでなく、屋外にも2つの運動場を備えているほか、屋外のグラウンドには照明が設置され、夜間でもゲームや練習を行うことができる。サッカーチームの子供たちは無料でユニフォームが支給され、あらゆる設備も学校が提供している。1人に対し少なくとも運動着とソックスが5セット支給され、非常に専門的なサッカーチームの体制がとられている。このほか、休日練習では、学校が全メンバーに無料で昼食を提供するほか、平日の練習後にも、無料で牛乳とパンが支給される。
■日本人コーチがボランティアで指導
昨年、興塔小学校から上海市の少年業余体育学校に合格した生徒は10人に上るが、うち女性サッカーチームの生徒が全体の55%を占めている。郊外の小学校から体育学校に合格した女子サッカー選手人数の新記録を創った。この成績は、日本の斎藤コーチの功績なくしては達成できなかったものだ。
ソニー中国営業本部の幹部を務めている斎藤氏は、日本でもアマチュアコーチとして2つのサッカーチームの指導を行った。その中の1人は現在日本代表ユースの主力選手として活躍している。斎藤氏は、2012年6月、興塔小学校に招かれた。可愛らしい女子サッカーチームの少女たちを見た時、サッカーへの情熱が刺激され、学校側に毎週末ボランティアコーチとして指導することを約束した。この3年間、斎藤氏はどんなに天候が悪い日でも学校に通い、この約束を守り続けた。
斎藤氏の指導方法は独特だ。子供たちと話す時、斎藤氏は片膝を地面につけ、子供の目線に落としてから話す。これは、平等の立場のコミュニケーションを示している。子供たちを大声で怒鳴りつけるようなこともなく、いつも笑顔を浮かべながら、メンバーができていない部分を指摘する。毎回日本に帰国するたびに、大量のお菓子を買い込み、チームのメンバーに配る。子供たちの目には、斎藤氏は優しい大きなお兄さんに映っている。
斎藤氏は、「青少年サッカーの練習は、サッカーをゲームとして捉え、練習中に多くの励ましを与えることで、はじめて子供たちの潜在能力を発掘することができる」と語る。斎藤氏は常に手作りの緑色の札を持ち歩いている。緑の札を挙げると、「よくやった」の意味になる。日中のサッカー教育の違いについて、斎藤氏は、「日本のチームは、いつも土曜日に練習して日曜日に試合する。だが中国の場合は、練習は多いが試合が少ない」として、「毎日練習した後、必ず試合を行う。試合の中で課題を探し、その後課題を復習して、全員に技術の要点を習得させ、そこから技術を早く向上させる」と語る。
「私はこのチームにすごく愛着を感じている。子供たちは非常にかわいらしく、先生たちとは全員友人になった。中国にいる限り、このチームのためにボランティアのコーチを続けたい」と斎藤氏は語る。(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/武藤)
情報源:Recirdchina